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氷室屋はきつかったなー。
他のルートでも好きっていうのはわかっていたけど、
それは『Like』であって『Love』じゃないと思ってた。
そういうキャラでもあったから。

でもここで吐露される想い。
誰にも伝える事のない気持ち。
京一を焚きつけて、助けて。
一人神社の裏で涙を流す。
「一緒にいた時間は実咲達よりも短いけど、結構クルもんですね」
この台詞に思わず目頭が……。

ヒロイン達は自分がメインではない、
他の姉妹ルートでは京一に対して好意ではなく厚意のようなものだった。
他の男よりも好きな男。
双子は除く。
あとノキアも。まぁあの妹だったら……、的な。

でも氷室屋だけは、誰のルートでも自分の気持ちを京一に伝えないまま終わるんだろうなーと。
自分の気持ちを伝えられた咲耶はまだ幸せな方かもしれない。


さて実咲ルートでは氷室屋が出てきた。
という事は咲耶ルートで夕空の男装の秘密がわかるわけか。

　
　
　
んじゃこっからネタバレ全開で。
っても表の記事で語りすぎた感が。
なのでここからは自分の印象深かった部分を。

自分はアレかな。
拓真の死を皮切りに、
誰かあの子を殺したんだ？
あいつか？　それともあいつか？
と誰も彼もが疑心暗鬼になり、一人、また一人と死体が増えていく、
的な話を期待したんだけど、結局死ぬのはほぼ拓真のみ。

そう！　ほぼなんだよほぼ！
マキナっていうヒロインが出てくるんだけど、こいつ死にすぎ。
不謹慎かもしれないけど笑っちゃうくらい死にすぎ。
こいつのエンドは二つあって、
一つ目が櫂と恋人になるんだけど、結局他の住人達への攻撃的な態度をやめず殺される。
二つ目が櫂と恋人になるんだけど、他の住人達へ協力的。
違和感を覚える櫂。そして一つ目のエンドと同じように、自ら沈み、櫂も引きずり込まれる。
だがしかし、また同じように新たに現れるマキナ。
櫂はまた同じように彼女を殺す。
だがしかし、また同じように新たに現れるマキナ。
櫂はまた同じように。
彼女は永遠に殺され続け。
彼は永遠に殺し続ける。
そんな幻影のエンド。

そして彼女がようやく殺されないルートに入ったと思ったら、結局殺される。
マキナ！　お前殺されすぎなんだよ！
といいたくなるくらい、ただ殺されるためだけに生み出されたヒロイン。


自分がこのゲームをいい、と思ったのは、
主人公がただヒロインのためだけに生きると決意し、行動したところ。
紡というヒロインは、みちると同じようにこの館に不必要な人間を殺す役目を請け負う。
普通の主人公なら、
そんな事はやめろ！　ちゃんと罪を償うんだ！
と言うべきところを、この櫂は、
君は悪くない。俺もこの楽園を一緒に守る。
と。ヒロインを全肯定し、自分もその役目を担う。
あるルートではみちるの意思を受け継ぎ、楽園の守り手になり。
あるルートでは紡と一緒に楽園を壊そうとするものを排除する。

普通のゲームなら、
こんな作られた楽園で得る幸せなんて何も意味もない！
例え不安だったとしても、失敗するとしても、俺は明日を掴みたい！
なんていう事になるだろう。
これはマイナス的な発言かもしれないけど
不安があり、失敗するかもしれない明日より、安定した今日の方がいい。
何の刺激もなくたって、何の興奮もなくたって、
永遠に続く楽園ならそっちの方がいいと思う。
他のゲームではあまり見ない、守られた楽園で生きるエンドが多かった。


あと灰奈というヒロインは家政婦にイジメを受けて、体中青アザだらけなんだけど、
このご時世のエロゲでよくここまで攻めたなと。
ちゃんとＣＧでも描かれてたし。


カードのイラストやテキストも雰囲気があっててよかった。



不満といえば上でも言った通り、フルだとちょっとボリューム不足なのと、
エチが少ないの、サスペンスと銘打たれているのに人が死なないの。

総合で、次回作が出ればまた購入検討になるような出来だったと思う。
次回作があったら、の話だけど。